子どもの成長を見守る
暖かで緩やかな繋がりの
ある住まい
対面キッチンの目の前には、柔らかな光が差し込む明るいリビング。その窓を開けば、緑豊かな公園に子どもたちの遊ぶ姿を望むことのできるS★HOUSE。「ほどほどのプライベート空間」を大切にしたという、4人家族の住まいが完成するまでのプロセスについてお伺いしました。
住まい選びをはじめたきっかけを教えてください。
夫:もともと、この場所に建っていた中古住宅を購入し7年ほど住んでいました。しかし、とにかく冬は寒く、夏は暑く、湿気がこもりがちで結露も多く、さまざまな問題を抱えていました。そこで別の土地への引っ越しも検討しましたが、子どもの保育園や職場への出勤時間などを考えて、家を建て替えることを選びました。
妻:冬には暖かく、夏は涼しく、もっと快適に暮らしたいと考えていました。
久村尊子(以下、久村):はじめてご自宅にお邪魔したとき、夏の暑さで水道からお湯が出ていたことがとても印象的でしたね。
工務店選びはどのように行ったのですか?
夫:ハウスメーカーによる住宅展示場を、いくつか見て回りました。子ども向けのイベントなども開催しているので、子どもたちを連れて行ったりもしましたが、それだけでクタクタになってしまって…。どこに行っても、大きな決め手となるものがありませんでした。
妻:住宅展示場は土地が広すぎて、自分たちの住まいをイメージすることが出来ませんでした。広々とした空間で住まいを想像するので、どこか錯覚してしまう部分があったんです。でも土地の広さは限られていますし、私たちの求めているのは、暖かくて、もっと自然な住まいでした。そこでネットなどで情報を探しはじめたら、すぐ近くで福安工務店が手掛けた住宅の完成見学会を開催していることを知りました。地元の工務店だったので、すぐに電話して自転車で会場まで駆けつけました。
松永浩一(以下、松永):完成見学会の開催日に連絡をいただいて、すぐにご来場くださったのを覚えています。そのときはOMソーラーシステムに興味を持っていただいたのですが、天気が悪くて実際に稼働しているのを見てもらえませんでした。そのため、別の住宅の完成見学会にも参加していただきました。
妻:しかし、またしても天候が悪くOMソーラーを体感することができませんでした。そこで、福安工務店のモデルハウスにOMソーラーが導入されているとお聞きしたので、晴れた日の朝に連絡をしてお邪魔させていただくことになりました。
松永:モデルハウスでは、OMソーラーによって温められた空気が室内に循環する流れを、ダクトに設けられた小窓に手を入れることで体感することができるようになっています。
夫:暖かい風を実際に自分の手で体感することで、理解が深まりました。また、太陽の熱を集めて、家全体を温めるシンプルな構造にも共感しました。加えて、自然の素材を使用した心地のよさが感じられて、福安工務店に依頼する大きな決め手となりました。
久村:S★HOUSEは、屋根の日当たりがとても良くOMソーラーを取り入れるのに適した立地でした。
設計の打ち合わせはどのように進みましたか?
夫:これまでの住まいで困っていたこと、気に入っていたことなどを教えて欲しいと言われました。それから、どのような暮らしをイメージするか、どんなことを実現したいかという理想も、たくさん紙に書き出しました。
久村:おふたりのように、丁寧に書いて伝えてくださる方はとてもめずらしく、大変有り難いことでした。もちろん、お話するなかで思いついたものをどんどん言っていただいても構いません。しかし、じっくりと考え紙に書き出すことで、後から優先順位を見直すこともできますから、とても良いことだと思います。住まいづくりは、大きな費用と時間がかかる、大きなライフイベントです。理想の住まいを実現するために、1つずつ確認していくことが大切だと考えています。
松永:はじめに、これまでの住まいの状況を把握させていただきます。設計士だけでなく、施工者も現場を確認することで、より広い目線での情報を収集します。そうすることで、気に入っていた部分は上手に取り入れながら、新しいプランを提案することに役立ちます。ご自宅を拝見した時は、キッチンも綺麗にリフォームされていて「もったいない!まだ住めますよ!?」と、つい本音が出てしまいました。
夫:そうでしたね。あの時は、「なんて商売っ気のない人なんだろう」って驚きました(笑
どんなことを重視した住まいにしようとお考えになりましたか?
妻:やはり、1番は暖かくて快適な暮らしを実現できる住まいです。私たち夫婦は共働きなので、洗濯物も室内で干すことが多くあります。これまでは、湿気がこもりがちだったので、ガス衣類乾燥機などの導入も視野に入れていました。
久村:OMシステムの導入を希望されていたので、暖かさは十分に確保できると考えていました。また、「木造ドミノ住宅」であれば、柱を必要としない、自由度の高い間取りを実現することが出来るので、空間の広がりと通風を確保するため、2階の床の一部をすのこ状にしました。そして、すのこ状の床のすぐ横には部屋干し用の洗濯スペースを設けました。また、天井部には採光効率を高めるための天窓を設置することで、太陽の光が差し込み、風が抜け、家全体に光と空気の流れが生まれるように設計しました。そのため、ご希望いただいたガス衣類乾燥機の設置は必要がないと感じたので、もし必要になったときに、容易に設置できるよう最低限の予算で配線の確保だけをすることをご提案しました。
妻:実際に利用してみると本当によく洗濯物が乾きました。久村さんのご提案通り、今のところ、衣類乾燥機の出番はなさそうです。無駄に取り付けなくて本当に良かったと思います。それにOMソーラーは冬に室内が乾燥しやすいとのことですが、洗濯物がちょうど良い湿度を保ってくれています。それから、久村さんには「忙しい時に、手を抜いても片付く家」という希望もお伝えしていました。以前の家では、1階で洗濯をして2階で干すので大変でしたが、今は2階に洗濯スペースを集約することでとても楽になりました。
久村:毎日の家事は、ほんの些細な工夫で驚くほどに楽になります。家事動線がスムーズになると、効率的でストレスが少なく家事がこなせます。私も家に帰れば主婦ですから、家事動線を考えることの大切さは身をもって感じています。
妻:他にもコンセント位置や収納、照明などの細かい打ち合わせもありました。例えば、キッチンで使用するフードプロセッサーは、コンセントをどこにしたら使いやすいか?どこに収納したら取り出しやすいか?など具体的な話をしました。床はゴミが目立ちにくく、足元が冷えにくい素材にするなど、生活をイメージしながら進めてくれました。
まだ、小さなお子さんが2人いらっしゃいますが、子ども部屋はどのように決めましたか?
夫:2人の子どもは男の子と女の子ですから、小さくても1人ずつの部屋が必要でした。しかし、子ども部屋にこもってしまうのではなく、家族と過ごす時間を大切にして欲しいと思いました。同時に、大人になってから早く独立してもらうためには「十分な部屋」ではなく、「ほどほどのプライベート空間」があればいいとも考えました。
久村:私も子どもを育てる親として、「心地よすぎる子ども部屋を与えることで、そこだけで完結して欲しくない」という考え方に共感しました。
妻:小さくても自分の部屋があることが、とても嬉しいようです。それから、階段の途中の壁面には本棚を設置してもらいました。モデルハウスで見ていいなぁと思っていたので、久村さんに相談しました。
久村:階段の下に足が出せるように工夫することで、ミニ図書館のように座って本を読めるようにしました。窓から差し込む光で、明るさも十分にあります。
妻:おかげで子どもたちは、部屋に引きこもることなくリビングや階段で本を読んでくれています。
愛着を持って暮らし続けることのできる住まい
実際に暮らし始めてからの住み心地はいかがですか?
夫:設計の段階ではわからなかったですが、前の家より広く感じるようになりました。当初は3階建て住宅も考えていましたが「施工費が高くなる割には、あまり広く感じられない」といわれ、久村さんのご提案に耳を傾けました。
妻:今の住まいのかたちに、とても満足しています。
久村:3階建てにすることで床面積を広げるより、設計によって限られた空間を広く感じさせる工夫をご提案しました。例えば、廊下をなくして部屋の一部として考えることや、不要な間仕切りをしないことなどです。またOMソーラーを効率よく活用するためには、階段を階段だけのスペースとして囲わずにリビングに取り入れることなどは基本的な設計技術であり、おふたりの求める生活スタイルにとてもよくマッチしていました。
妻:広々とした空間で寝っ転がって天井を見上げると、無垢の木の質感が感じられてとても気持ちが良いです。少しずつ変化する木の色や質感も心地よく感じています。それに、冬には建て替え前に使っていたヒーターを使用せず、暖かく過ごすことができました。
夫:また、除湿・防カビ効果のある漆喰(しっくい)と珪藻土(けいそうど)を壁材に使用してもらいました。壁材に悩んでいるときに、福安社長に「本当に結露しない?」と伺ったところ「全くしないとは言えない。しかし効果はある。」と、正直な答えが返ってきました。ウソのない正直な言葉に信頼を覚え使用を決意しましたが、とても快適で気に入っています。
久村:漆喰にすると画びょうなどが刺せないので、リビングの壁面にはピクチャーレールをつけることをご提案しました。今では、子どもの作品が飾られていてとても可愛いですね。
妻:そうなんです。設置してもらって、とても良かったです。ただ、実は1つ問題点があるんです。2階の壁材に使用している珪藻土の壁からでる粉が、掛けている洋服についてしまうことがあるんです。
久村:なるほど。それでしたら、服に触れる部分だけ当て木を貼ることもできるので工夫しましょう。さっそく、拝見させてください。
困ったことがあるとき、すぐに対応できるのも地域の工務店だからこそのメリットのように感じますが。
夫:出勤する朝に、久村さんと顔を合わせることもあります。大手ハウスメーカーさんだと引き渡しが完了すると、ほとんど顔を合わせることもないと思います。すぐ身近に、自分たちの住まいをよく知り、相談できる人がいることは安心ですね。年に何度か、福安社長のご自宅でバーベキューが開催されるなど、お客さん同士が交流できる場があったりもします。
松永:竣工後も住まいのメンテナンスのお手伝いをさせていただくために、「ふくふく住まい俱楽部」を立ち上げています。情報交換の場としても役立てていただいています。
家を建てる過程の中で、特に印象に残ったことはありますか?
妻:地鎮祭をしっかりとやれたのは良かったですね。大工さんとも直接お会いしてコミュニケーションを図ることができました。
夫:それから、玄関の土間に家族みんなで手形をつけました。コンクリートが固まる前に「記念にどうですか?」とお声をかけていただいて、「そんなことが出来るんだ!」と驚きました。末っ子だけは嫌がって泣いていましたけど、それも含めていい思い出になりました。
妻:もし、興味があれば壁も塗らせてくれるって言っていただきました。なかなか体験できる機会はないですよね。でも、自分の住まいの壁は綺麗であった方が嬉しいのでお断りしましたけど…(笑
松永:気になる部分は、後から左官屋さんが手直しするので安心してください。住まいとは、注文をいただいて建てたら終わりというものではありません。永く愛着を持って住んでいただきたい。ご家族の成長と共にある家であって欲しいと願っています。
PROFILE
お話を伺ったご家族
八王子は夫のお父様のご出身地。結婚を機に八王子での暮らしをスタート。敷地面積68.37㎡の限られた土地の中でも、広々と感じられる暖かい住まいを希望する。2人のお子さんの成長を優しく見守る、共働きのご夫妻。
久村尊子(くむら たかこ)
株式会社福安工務店 取締役 設計部長
一級建築士 / 福祉住環境コーディネーター2級/ファイナンシャル・プランニング技能検定3級
インテリアコーディネーター / CASBEE戸建評価員
母、妻、設計士として3つの顔を合わせ持つことを強みに、住まい手のイメージする暮らしを引き出すことを得意とする女性設計士。住まい手の個性を大切に、女性ならではのきめ細やかなプランニングで家事が楽しくなるような工夫なども施す。家づくりを総合芸術と捉え、五感だけでなく、変化の激しい情報、法律、技術の研鑽を重ねている。
松永浩一(まつなが こういち)
株式会社福安工務店 取締役 工事部長
一級建築施工管理技士 / 二級建築士
工事全体を統括管理し品質や安全管理、職人の仕事などを見守る工事部長。現場単位でのお客さまの疑問点などにも対応する。八王子育ち。三児と愛犬(ラブラドール)の父親。アウトドアが趣味で、キャンプには、愛犬も連れて行きます。お引き渡し時のお客様さまの笑顔が何よりの支え。