(愛称)「丘の上の家」の断熱改修では、壁の断熱材に高性能グラスウール24K、105㎜厚を選びました。柱の太さ105㎜と同じ厚さのグラスウールを充填(じゅうてん)していきます。

ポリエチレンフィルムのパックに入っているタイプではなく、グラスウールのみを壁体内に充填し、室内側に調湿気密シートをあとから張るタイプの断熱材です。

グラスウールはぎゅっと袋の中に圧縮された状態で届きます。この袋の中に105㎜厚のふわふわの断熱材が二つ折りで4枚(8枚分の厚さ)も入っています。袋を開けたらぶわわわと膨らんでいきます。
熱伝導率λ=0.036W/mKなので、105㎜厚だと熱抵抗値は2.9となります。東京(6地域)の誘導仕様基準(断熱等性能等級5)として提示されている熱抵抗値2.7よりも高い断熱性能とすることができます。

改修前の壁に入っていたのは、当時一般的に使用されていたグラスウール10K、50㎜厚のものだと思われます。だいぶヘタっていて性能は落ちているように見えますが、きっちり施工されていれば、熱伝導率λ=0.050W/mK、熱抵抗値1.0程度であったと思われます。

既存の壁の断熱材は、石膏ボードとの間に隙間があり、床下の根太と土台の間の隙間から壁の中に隙間風が入ってきてしまう状態でした。実際に、改修前の寒い時期には、巾木のあたりから室内に冷気が入ってきていたそうです。これでは、断熱材の効果が台無しです。

根太と土台の取り合い部分や、配管が通っていて隙間ができやすいところは、現場発泡のウレタンフォームを吹き付けて隙間を埋めておきます。ウレタンフォームはグラスウールと違って通気性がないので、このような隙間を埋めるのに適しています。

根太との隙間を埋めた後、柱の間にグラスウールを隙間なく充填していきます。窓台と窓枠の間にも現場発泡のウレタンフォームを吹き付けています。

壁にグラスウールを充填するとき、筋交いがあると少し手間がかかります。筋かいのカタチに断熱材を切り取ってはめ込む必要があるからです。断熱材を半分の厚みに割いて筋交いの向こう側と手前側に入れるなど、工夫しながらきっちり充填していきます。

上の写真は断熱材を充填し終わったところです。筋かいが入っているところにも形を合わせてきっちり充填されました。断熱改修範囲は1階のみですが、せっかくなので胴差の上、2階の床レベルまで、外壁部分の入れられるところにはしっかりグラスウールを充填しています。
改修前と比べて断熱性能を格段に向上させることができ、見た目にも暖かそうな仕上がりとなりました。このあと、断熱材の室内側に調湿気密シートを施工していきます。